宗教について 〜 人の生と死を考える 注93'

公開: 2023年6月7日

更新: 2023年6月8日

注93'. 貸与型奨学金

日本社会では、大学生の半数近くが、日本学生支援機構が貸し出す奨学金を受け取っています。そのほとんどは、有利子の奨学金と無利子の奨学金で、基本的に借金です。奨学金を受給した学生は、大学卒業後、基本的に企業等から支給される給与から、長期に渡り、一定額を返金します。

大学の学部4年間で、給付を受ける奨学金の総額は、一般的には、200万円から400万円程度になります。これは、若者にとって、かなりの経済負担となります。さらに、就職状況は、経済状況の変化で、大きな影響を受けるため、卒業年度によっては、企業の採用条件が著しく厳しくなる年度があります。景気の悪い年に、数百万円の借金を抱えて、生活を始めることは、その人にとって大きな経済負担となります。

かつて、日本社会で経済の拡大が継続していた1990年代の初めごろまでは、そのような借金も、入社後の継続的な給与の上昇によって、大きな負担にはなりませんでした。しかし、1990年代中頃から、日本社会の経済成長が停滞し始めてからは、この大学卒業時点での数百万円の謝金は、その人の、その後の人生を左右するほどの問題になりました。このことは、学生の親達の所得格差が、その子供達である学生たちの、大学卒業後の社会的な格差を生み出すようになったと言えるでしょう。

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